マーク・ディビス
(Photo:T.Namiki)
1995年の10月4日から17日の間、ディズニーの偉大な“アニメーター”、というかイマジニア・デザイナーというか一言では言えない多彩なキャリアを持つマーク・デイビス氏がアリス夫人と共に来日した。ウォルトディズニーその人と共にディズニーランドの企画時から携わっている彼は、以前にも東京ディズニーランドの運営に関していままでに何回か来日しているが、我々アニメーション関係との接触は限られていた。
今回は、セル売りをしている関連会社が招聘元でサイン会なども多く行われたため、初めてマスコミにも大きく取り上げられ、テレビなどで専門家だけでなく一般市民にも広く紹介されたことはうれしいことだった。
彼は数々のディズニー長編を支えた9人のベテラン“ナイン・オールド・メン"の一員だ。バンビ、シンデレタ、ピーターパン、101匹わんちゃん大行進、眠れる森の美女などで中心的な役割を果たしたアニメーターであり、キャラクター・デザイナーである。職域を正確に言うのは難しいが、バンビなどではストーリーの開発、舞台設定、場面構成などの役割も担っている。
悪女クルエラや魔女マレフィセントなどの敵役を鋭い描線でデザインする一方、ティンカーベルやオーロラ姫、シンデレラなどのアメリカン・ビューティもシンプルに気高くデザインしている。そうしたカチっとしたデッサンの正確なアニメーション設計はあまり例を見ない。比すべき才能は、他のオールドメン・メンバーか、日本では唯一故森やすじさんしか思い浮かばない。
数々の名作の制作後は、アニメーションからパークへの興味を移していったウォルトに添うように、彼は活躍の場を変えていった。ウォルトの分身として彼のアイデアを巧みなスケッチにして実現させたのだ。それは「立ち上がり演説するリンカーン大統領」であり、「女に追い回される海賊」が人気の作り物である「カリブの海賊」----------などのディズニーランドの有名なアトラクションの創造である。
今回の来日のあいだ、10月10日にベイ・ヒルトンホテルで「囲む会(主催オリエンタルランド)」が開かれた。日本のアニメーション関係者が集まって、彼の活躍がビデオをで紹介された後、ご夫妻の話を聞くことが出来た。質疑応答などもあり、我々は感激の一時を過ごした。
幸いにも8年ほど前にロスの自宅に訪問する機会を得た際に、私は一見大変きびしい外見のディビス氏がとてもやさしい人格者であるという素顔に触れることが出来た。私自身、彼の仕事の全貌とそうした素顔をもっともっと多くの日本のアニメーション関係者に紹介したい気持ちはつのるばかりだが、チャンスを待つことにしよう。
現在の彼のディズニーでの公的な仕事はコンサルティングなどの限られているが、世界各国でディズニー・スピリットを伝えている一方。私的には長年描きためているパプア・ニューギニアの水彩画集の出版を進めるなど、筆は衰えを見せていない。
これからの活躍がますます期待される。
(付記) みなさん、東京ディズニーランドに行く時は、ギャラリーに彼のコンセプチュアル・デザイン画が多数展示されているので、ぜひ見逃さないように!
監修:なみきたかし
パイオニアLDCよりボーナスを当て込んで1995年12月10日発売となった「ドナルド・ボックス」3枚組6面は傑作揃いだ!(と思う)。「ミッキー・ボックス」に続いてなみき代表が監修者として作品選定をしたもの。日本独自の編集版。「◯◯編」という区分けのネーミングが爺くさくて彼の世代を感じさせる。
世界で初めて戦時中のプロパガンダ作品「総統の顔」を収録しようと候補にあげていたが、結果としては残念ながらやはり収録されないことになった。しかし、他にもわざわざなかった日本語版を作った短編があったり、片面30分という制約のなかで収録本数を増やしつつ変化にとんだ作風が判るようにした。まさに選り抜きの作品を選んだこのセットは「ミッキー・ボックス」同様完売となったようだ。
今回封入されている解説書の文は、本国の人が書いたものを、なみき+増本園が訳した。 二ヶ国語版CAV初回限定生産。\15,450(税込み)
〈デビュー編〉
〈出世編〉
〈甥っ子トリオ編〉
〈お仕事苦難編〉
〈変な共演相手編〉
〈チップとデール編〉
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