FILM 1/30e No.8 2001年8月発行
ブラジルフェスティバル報告 ANIMA MUNDI 2001 -その1
菅沢悦子(特派員)
去る7月15日から25日にかけて、ブラジルでのアニメーション・フェスティバルに参加してきました。アニマ・ムンディ(ポルトガル語で「世界のアニメーション」の意)・フェスティバルはブラジル最大の都市、リオデジャネイロとサンパウロの2ヶ所で開催されており、今年で9回目。前半はリオ、後半はサンパウロに会場を移し、合わせて半月ほどの長期間です。フェスティバル・ディレクターであり、99年アヌシーフェスティバルでなみきさんと共に国際審査員を努められたマルコス・マガリョアス氏のお招きにより、今回のゲスト参加が決定しました。
アニドウの提供する上映内容は、「のらくろ伍長」「くもとちゅうりっぷ」などの古い白黒アニメーションの他、「セロ弾きのゴーシュ」「この星の上に」の2本です。展示部門にも協力し、「日本のアニメーションの系譜」をテーマに森やすじ、小松原一男、椋尾篁といった方々の貴重な原画、「この星の上に」の原画とセル、映画ポスターなど計50点ほどを展示しました。
私はこの展示の責任者兼アシスタント・カメラマンとして、この催しに同行しました。これまで広島、アイルランド、トゥーロン、アヌシーと参加して来て今回は5度目のフェスティバルとなりますが、とてもユニークなもので印象的な旅でした。以下簡単な報告です。
日本からは直行便がないためニューヨーク経由(ロス経由もあり)でサンパウロまで、さらに飛行機を乗り換えてリオデジャネイロについたのは機体故障による遅れもあって30時間以上の後のこと。まだ何もしていないというのにすでにへろへろ。南半球なのでいちおう冬のはずだが日本の夏とあまり変らない。迎えの車で案内されたホテルはイパネマ海岸に続くレブロン海岸の真ん前で、さすがゲスト待遇と喜ぶ。他のゲスト達もここに滞在するらしい。会場は海岸からは少し離れたダウンタウンにあり、毎日車で送り迎えしてもらうことに。日本を発つ前、ネットで調べた治安情報は「間違いなく世界で1番危ない国のひとつ」「ニューヨークのハーレムの10倍危険」など恐れおののくものばかりで、仕事道具のビデオカメラを持って行くのもためらわれるほどだったのだが、とりあえず安心。この日は展示チェックのみ。展示会場は3階建ての建物の一室で専門の美術ギャラリーになっており、かなり広い。 ![]() 展示会場 |
![]() ![]() ![]() |
![]() ![]() ![]() 子供たちであふれるワークショップ会場 |
フェスティバル自体は15日に始まっているものの、展示のオープニングは17日で、やはりこの日から本格的に上映なども始まるらしい。上映とワークショップのメイン会場は展示会場のすぐ近くで、ブラジル銀行に併設されているシアターである。会場の入り口も駐車場に入るにも、やたらと警備員がたくさんいる。やはり治安が悪いせいだろうか。会場のエレベーターはなんと手動式で、驚いたことに椅子に座った係の人(若い女性からおじいさんまでさまざま)が各1人乗って操作しているのだ。なるほど、1日中立ちっぱなしでいることはないと感心。でも椅子のせいで狭いので常に4、5人しか乗れない。 メイン会場のホールは早くも子ども連れの観客でいっぱい。ここではゾートロープ、パラパラまんが、クレイアニメーション、砂アニメーション、ピクセレーション(コマ撮りの特殊撮影)など子供向けの体験ワークショップをやっており、各々ボランティアスタッフがついて指導するのだが、これが実に本格的で楽しい。ビデオ撮影したものはすぐその場で再生して見せてくれる。アニメーションミュージアムの参考にビデオを撮りまくる会長なみきさん。 アニドウの展示会場をのぞくとけっこう人がいた。素晴らしい展示ですねと声をかけられる。小さい子は必ずと言っていいほどセーラームーンのポスターに大喜び。みんな作品を知らなくても、純粋に絵として楽しんでくれている様子。 上映の方も見に行く。今回私達のプログラムはA・Bに分かれており、Aは「ゴーシュ」「この星の上に」、Bは日本の古いアニメーションと「この星の上に」。各プログラム共会場と時間を替えて、繰り返し上映される。スクリーンの下にはポルトガル語の電光字幕が出るようになっている。「ゴーシュ」では動物達の登場シーンで笑いが起き、地球の裏側でも反応は同じだなあと感慨深い。お客さんの入りは8割ほどで、まあまあだった。 Bプログラムはなみきさんがゲスト講演する回がリオとサンパウロで1日ずつある。他のゲスト作家も同じ。講演といってもchatと名前がついているので「おしゃべり」程度でいいらしい。このときばかりは私はビデオ撮影と写真撮影の両方引き受けなければならない。ついこの前までド素人だったのに、だいじょうぶか不安。 他のゲストは英国のロイヤル・カレッジ・オブ・アートから講師数名、ポール・グリモーの弟子ジャン=F・ラギオニー、「ベルギーアニメの父」ラウル・セルヴェ、チェコのミカエラ・パブラトーヴァ(彼女も'99アヌシー審査員の一人)、そしてブラジルでは数々のコマーシャルを手がけ超有名だというウォルバシー・リバス。ディレクターのマルコス氏を含め4人もなみきさんの写真集「Animated People」に載っている。ありがたくサインをいただく。もはや私の持っている写真集は完全にサイン帳と化している。 |
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